mr. nobody


この映画、どこがいいのか?音楽がいいです。ストーリーも勿論良かったですね。
監督ジャコ・ヴァン・ドルマル(Jaco Van Dormael)の実兄ピエール・ヴァン・ドルマルが映画『8日目』同様に音楽を担当、『アンダー・カバー』のギター演奏を披露してくれています。残念ながらこの曲は最後の作品になってしまいました。
全編をオールディーズが、物語の主旋律をドルマンによるギター曲『ミスター・ノーボディ』とサティのピアノ曲が奏でます。

冒頭で『ハトの迷信』行動に関する理論が展開されます。

詳しくは調べて頂いて、これは所謂カオス理論の一つ『蝶の羽ばたき効果』に対するものです。この”バタフライ・エフェクト”はどこか”東洋的な”響きがあります。
蝶の羽ばたきのようにわずかな振幅作用がサイクロン(インド洋に発生する巨大低気圧)発生の原因にもつながるだろうという因果律の説明の喩えに使われます。
ある事件の発生、その原因・つながり(因果)は熱帯雨林の奥深く、蝶の羽ばたく姿のイメージに起因・関連付ける、非常に神秘的な瞑想(めいそう)哲理です。

この神秘的な因果律のイメージ的解釈に対して、『ハトの迷信』理論はこの「因果律」(言い換えれば「運命」論)を滑稽かつ無情にも突き放します。つまり、たとえば人との出会い等に感じるであろう「運命」、そんなものは幻想、思い込みにしか過ぎないというものです。

この「ハト」実験映像、理論はあまり重要なものではなく冒頭でさりげなく挿入されますが、物語全体を象徴する伏線になります。

幻想・・・ 思い込み・・・
しかしその当人にとってはやはり何か特別なモノを感じ、そこに意味なり「運命」を織り込んで人生を解釈、再構築するものであり、これがこの映画の物語になっていきます。

ノスタルジックな曲調と幼少期を過ごした記憶の中のフランス片田舎の町並・・・しかし舞台は遥か時代を超えた未来都市。人生は選択の連続ですが、これは、選ばなかった選択肢、その「もしも・・・」というもう一つの「可能性」の物語です。おそらくこの語り口にやられます。

2010年01月26日(火)記す

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