l’homme qui plantait des arbres


Pour que le caractère d’un être humain dévoile des qualités vraiment exceptionnelles, il faut avoir la bonne fortune de pouvoir observer son action pendant de longues années. Si cette action est dépouillée de tour égoïsme, si l’idée qui la dirige est d’une générosité sans exemple, s’il est absolment certain qu’elle n’a cherché de récompense nulle part et qu’au surplus elle ait laissé sur le monde des marques visibles, on est alors, sans risque d’erreurs, devant un caractère inoubliqble.

      

(彼は本当に卓越した資質をそなえていると、ある人物の本質を明らかにするには、長い歳月にわたってその 行動を観察することができるというそういう幸運を得る必要がある。 もし彼の行動がすべての利己的な行いを取り去り、その行いを導く考えが例外なく無私に基づいて、どこにも報酬を求めないで、誰の目からもはっきりとわかるような形を残していることが確かであるなら、わずかな誤りもなく言えることは、決して忘れ去られることのないそういう人物の前にあなたはいるのだということ)
– “l’homme qui plantait des arbres” by Jean Giono, Gallimard/ 翻訳:編集部

いつ最初に読んだものなのかはっきりしません。小さい時でした。カナダの画家 フレデリック・バック氏のアニメーション化した作品を観て気に入り、ジャン・ジオノ氏の原作である日本語翻訳の絵本を読んだという覚えがあります。学生の時はあまり邦訳されていなかった氏の著作を集めていて何作かは原文で読みました。フランスで滞在した時は本屋で記念にこの本を購入し、この本だけは今でも大切に所有しています。この記事も以前に投稿し単行本化したブログから採録しました。子どもの頃に読んだ時と較べて、今この作品の印象が随分と変わりました。引用した文章はこの作品の物語に入る前の序にあたる部分で、その全文です。

各翻訳本の訳文はリズムも壊さず平易でありながら、なお生きた表現として訳されています。ただ内容的に原文の表現を離れ意訳して訳しづらい部分を省略する場合もあります。この上の訳文は少し説明的ですが原文の表現・内容をたどりある程度忠実に訳しました。もっとも原文の表現は短文ながら完成されたフランス語の美しさがあります。

当時この絵本版の方は児童書扱いで、本編がやさしい文章で物語られるのに対して原作の冒頭部は異質で硬い文章だと感じました。短いながらも鋭く深い省察に充ちたこの文章を気に入ってもいました。ですが物語中で語られ描かれている人物と、この少し信仰色を含み簡潔に言い表された「ある人物」とは受ける印象が違います。この文章は「偉大な人物」への賞賛とも読めるし、人生の深い洞察から導き出し、簡潔に・完成され・文章として表現された「物事の真理」を語ってもいます。

今、「偉大な人物」といいました。ですがこの文章からはそんな風には読み取ることはできません。ただ言っていることは、ある人物が並外れた資質(人格・徳)をそなえていると感じた時、そして、それは何に根ざしているのか、その本質を理解しようとする時、少なくとも長い歳月の観察を通し共にあることが必要であり、そうして初めて理解できるものであるということです。他者がある人について語ろうとして躊躇してしまうならその人はこのことを理解しているからだといえます。自分はその人物についてよく知り、語るにふさわしいのかどうかと自問してしまうためです。

繰り返すと、この文章、物語に登場しそこで語られる「男」の事を直接的に言っているわけではありません。この「男」を通して「物事の真理」を上のように理解し結果的に導き出したということなのです。

自分の作品解釈をする前に、作品自体を、その物語るものをまずは読み進めるということを、まったく単純な事ながら私は鑑賞の際には 最も基本で大事なこととして心掛け実際に行っています。

物語は「私」の目を通して一人称で語られていきます。

何十年も昔に遡り語る「私」は、1913年のフランス・プロヴァンス地方の荒涼とした山野を旅します。そこで出会った羊飼いの「男」。ではその「男」、エルゼアール・ブヒィエ氏はどんな人物だったのでしょう?いいえ。言い直しましょう。エルゼアール・ブフィエ氏はどんなことを長い歳月を通して行っていたのでしょうか?

【記録】原作:ジャン・ジオノ Jean Giono / 監督:フレデリック・バック Frédéric Back 作品:『Abracadabra』(1970年)/『 Inon ou la conquête du feu 』(1971年)/『 La Création des oiseaux 』(1972年)/『イリュージョン? Illusion ? 』(1975年)/『タラタタ Taratata 』(1976年)/『トゥ・リアン Tout-rien 』(1978年)/『クラック! Crac! 』(1981年)/『木を植えた男 L’Homme qui plantait des arbres 』(1987年)/『大いなる河の流れ Le Fleuve aux grandes eaux 』(1993年)/ 脚本:ジーン・ロバーツ Jean Roberts / ナレーション:フィリップ・ノワレ Philippe Noiret(フランス語版) / クリストファー・プラマー Christopher Plummer(英語版)/ 音楽:ノーマン・ロジェ Normand Roger / 制作国:カナダ / 使用言語:フランス語、英語 / 1987年公開作品